自分の「中」の自己理解は、就職活動では、まだ「スタートライン」
先回は、「自己分析」=「自分を理解すること」の根本的な意義について考えてみたが、そうはいっても今の皆さんにとって、最大の関心は「就職活動における自己分析」をどう進めていくかであろう。そこで、今回からは『就職活動における自己理解』のポイントについて考えてみたい。まず、今回は、自己分析を進めていくにあたって、押さえておきたい視点について触れていく。
自分が今まで取り組んできたこと、自分の強みや長所・志向性などを思い出し、それをまとめていくと、だんだんと自分の「中」で、自分自身に対する様々な「気づき」が出てくる…これは自己分析のプロセスにおいては非常に重要なことであり、自分でその「気づき」を認識できるようになったとすれば、大きく前進していることは間違いない。しかし一方で、それだけで「自己分析が完了した」とは言えない…ということも、合わせて意識しておきたいところである。
就職活動の中では、採用担当者に対して「自分自身をアピール」していく必要がある。つまり「自己表現」をしていかなければならないのだが、ここでしっかり意識をしておかなければならないのは、あなたのアピールを受け止める相手(採用担当者)は「あなたのことを全く知らない人たち」であるということだ。
…「そんなこと当たり前じゃないか。だから相手に分かってもらえるように具体的に自己アピールをするんでしょ?」と思われるかもしれない。しかし、まさにこれが「言うは易く行うは難し」であって、自分では相手に分かりやすく伝えているつもりでも相手には自分のアピールが思うように伝わっていない、そしてその事実になかなか気が付かないために、就職活動で苦戦する人が毎年数多くみられるのも事実なのである。
自分の伝えたいことが相手に伝わらないというのは「表現の仕方が適切でない」「表現の工夫が足りない」から…と考える人も多いだろう。確かに表現の仕方や工夫に関わってくる部分は大きいのだが、それ以前に『採用選考において、あなたを知らない人に理解してもらうために押さえておくべき自己分析のポイント』が押さえられていない、言い方を変えれば「ズレてしまっている」ために、どんなに表現的な工夫をしてみても、やっぱり自分の強みや特性が相手に伝わっていない…というケースもかなり見られる。
その場合、いくら表現的な工夫をしたところで、そもそも「根本的なところ」で、何らかのズレが出てしまっているのだから、とにもかくにも、そこを修正していかなければどうしようもないのである。表現の工夫というのは、あくまで、そのポイントを押さえた上で、自分なりの工夫を加えていくことでその効果が出てくる…つまり、「的確、且つ表現力の高いアピール」であると相手が認めてくれるのである。では、そのポイントについて考えてみよう。
根本的な話だが、ずばり、採用担当者は何のために時間と手間をかけて求人を出し、その応募者に対して採用選考をするのだろうか?
それは言うまでもなく、「これから一緒に働いてもらうことで、(将来的に)その会社の戦力になってくれる人、会社にとってプラスの影響を与えてくれそうな人」を探しているからである。採用選考では、様々な側面から応募者を比較して、その会社にとって、より可能性の高い人を見極めようとしているのである。
…ということは、あなたは採用担当者に対して「①:あなたが将来的にその会社の戦力になれそうな人物であること、また、その会社で頑張っていきたいという意欲」などを「②:自分が考えているイメージとできるだけ同じように採用担当者がイメージできるように言葉を選んで伝える」ことが必要であり、まさにこの①②の2つが「まずは押さえるべきポイント」だと言えよう。
やっぱり「当たり前…」と思われてしまうかもしれないが、その当たり前のことを、実際に自分自身のことでまとめていこうとすると、なかなか思うように言葉が出てこないものなのである。だから、特に「就職活動における自己分析」は時間をかけてしっかり取り組む必要があるのである。
そのような意味で、冒頭に述べた「自分の『中』での自己理解が出来てくる」ということは、先回お伝えした「自分自身が将来についてより望ましい選択ができる可能性を高める」という本質的なところで見れば、相当な進歩なのであることは間違いないのだが、「就職活動を進めていくための自己分析」というところでは、それを基に、さらに深めていく必要があるということなのである。
次回は「まずは押さえるべきポイント」について、「①:あなたが将来的にその会社の戦力になれそうな人物であること、また、その会社で頑張っていきたいという意欲」について、もう少し掘り下げて考えていきたい。
◎次回(自己分析編・第3回)は11月17日更新予定となります。
バックナンバー
第11回 | (2015年2月2日掲載 ) | 面接における自己表現② |
第10回 | (2015年1月26日掲載 ) | 面接における自己表現① |
第9回 | (2015年1月19日掲載 ) | 「志望動機・志望理由」をどうまとめるか |
第8回 | (2015年1月13日掲載 ) | 「自分の強み・長所」をどうまとめるか |
第7回 | (2015年1月5日掲載 ) | 「学生生活で力を入れたこと」をどうまとめるか |
第6回 | (2014年12月8日掲載 ) | 前向きに自己分析を進めていくための切り口(2) |
第5回 | (2014年12月1日掲載 ) | 前向きに自己分析を進めていくための切り口(1) |
第4回 | (2014年11月24日掲載 ) | 就職活動における自己分析とは(3) |
第3回 | (2014年11月17日掲載 ) | 就職活動における自己分析とは(2) |
第2回 | (2014年11月10日掲載 ) | 就職活動における自己分析とは(1) |
第1回 | (2014年11月1日掲載 ) | 自己分析をする「意味」について考える |