KEY流 就活クリニック

【第7回】

就職活動に対する心構え⑦~
「アピールのネタを作る」というのはどういうことなのか

12月も中旬になってきたが、昨年であれば、12月に「各企業の広報活動が解禁」され、各地で合同企業説明会などが目白押し…という時期だったので、特に新卒での採用を目指す学生さんの中では「そろそろ、就職活動に本腰を入れていかないと…」という意識が強くなる人が増えてきていたような気がするが、今年は、様々な現場を見ていても、まだまだ就職に対する意識が高まっていくのはこれから…という人が多い。まあ、どちらが良いのかは何とも言えないところではあるが、それでも「(アクションを起こせるかは別としても)そろそろ、就職活動で自己アピールをまとめていくための準備・作業をやっていく必要はあるのかな…」と感じ始めている人はいるのではないだろうか。

そこで「まずは『自己分析』から始めてみるか…」「就職活動で問われる3大テーマは『学生生活で力を入れたこと』『自己PR』『志望理由』だよね…では、まずは『学生生活で力を入れたこと』からまとめていこう…」と自分自身の学生生活について振り返りをしてみる。

…と、ここまでは良かったのだが、いざ、振り返りをしてみようとすると、思うようにまとまらない…と言うよりもアピールできそうな取り組みが全く出てこないことに気がつき、急に焦り始める…「今からでも、何かやらなければ」とは思うものの、何をどうしたらよいのかさっぱり分からない…この時期になると、このような状態になってしまう人が毎年出てくる。本来であれば、ここから時間をかけてでも「眠っている記憶」を呼び起こして、一つずつ自分自身の振り返りをしていくことが大切なのであるが、深く考える作業は面倒くさい…ということで、とにかく何でもよいから「アピールできる『ネタ』を作る」ことに必死になってしまう人も多い。

もっとも、このような人は、本当に「全く何も考えずに」時間だけを無駄に過ごしてしまうよりは、まだ、多少はマシではあるかもしれないが、しかしそうは言っても、ただ「『アピールに使えるネタ』を作りたい」という理由だけで、いきなり何かに取り組んでも、おそらく、就職活動を乗り切るための「小手先のテクニック的」発想で何かに取り組んでみても、結果的には、その取り組みに「時間をかけたなりの効果」は得られない可能性が高い。

なぜなら、採用側が『学生生活で力を入れたこと』について問いかけをする時、採用担当者は「取り組んだ内容そのもの」にはあまり関心はなく、その取り組みにおける「プロセス」を重視しているからである。採用側が知りたいのは「何故、その取り組みをしようと思ったのか」「その取り組みで大変だったこと、大変だったなりに工夫をしたことは何か」「その取り組みを通じて感じたことや気が付いたことはあるか」「その取り組みを通じて身についたと思うこと、成長したと思うことはあるか」…などといったことであり、そして最終的には「そのような経験をしてきたこの人が『うちの会社で将来的に戦力になれそうな可能性』があるか?」どうかの判断をするために、応募者にアピールをさせているからである。

「とにかくアピールする『ネタ』を作ることに必死になってしまう人たち」が総じて勘違いをしているのは、「何らかの取り組みを『しさえすれば』評価をしてもらえる」と思っていることである。しかし、採用する側がそれを問う意図・目的を考えれば、そのような人たちは、おそらく望むような評価は得られないだろう。理由は先程述べた通り、採用側が知りたいのは、取り組んだ事実そのものではなく、その取り組みにおけるプロセスであり、さらにはそのプロセスの中にある、自分自身の「思い」「意識」や「考え方」だからである。

何かに取り組んでみようと思うこと、そして実際にそれに取り組んでみることについては、もちろん、悪いことではなく、非常に素晴らしいことではある。しかし、その取り組みをするにあたって、そこに自分なりの「意図」、あるいは「思い」や「意識」などが全く無く、単に「採用担当者のウケを良くするため…」だけが理由で何かに取り組むぐらいなら、それに時間をかけるよりも、最初に述べたように、今までの学生生活をもっと細かいところまで振り返ることに時間をかけて「既にある事実」の中から、アピールできるポイントを見つけていった方がまともな自己アピールにつながる可能性が高いのでは無いだろうか。

ただ、そうは言っても「本当に、どれだけ考えても何も出てこない…」という人もいるかもしれない。その場合は、そういう状態で現在に至ってしまったことを、まずは素直に反省し「なぜ、今までそうなってしまったのか」について、しっかり『自己分析』をした上で、今まで取り組みたいと思っていたけれども実行できなかったことに取り組み始めればよいと思う。その「反省」があるのかどうかだけでも、その後の取り組みに対する意識の持ち方がずいぶん変わってくるはずだし、それが「認識できていること」に対して、採用側も評価をしてくれる場合も多いだろう。

例えば「今までは、正直、無駄な時間の使い方をしてきてしまいましたが、それではいけないと強く反省して、今では時間の使い方を見直して、自分なりに出来ることから頑張って取り組んでいます」と自信を持って言えるぐらいになれば、たとえ、その何かに取り組んでいるという時間そのものは、まだ短くても、その前向きな意識や姿勢を感じ取ってくれる採用担当者もいるかもしれないということだ。(言うまでもないことかもしれないが、万が一、本当にそうは思っていないのに、いわゆる、その場しのぎで「このフレーズをアピールでそのまま使おう」などと思った人がいたら、もう一度、この記事を最初から読み直していただきたい…そして、厳しいことを言うが、そのような人は本当に「意識をゼロから叩き直さないといけない」レベルだと思っていただきたい)

結局、本当に大切なのは、自分自身の行動に対する「意識の持ち方」なのである。それを踏まえて、これから自分が何をすべきなのか、自分なりにしっかり考えていただきたいものである。

 

※このコーナーで取り扱う内容は、あくまで一般的な事項として取り上げるものであり、企業・団体などにおける個別の採用選考において、具体的な効果・成果などを保証するものではありません。

 

 

バックナンバー

特別編・後半 (2015年4月27日掲載 ) 一口に「就職活動がうまくいかない」と言っても…(2)
特別編・前半 (2015年4月20日掲載 ) 一口に「就職活動がうまくいかない」と言っても…(1)
第24回 (2015年4月13日掲載 ) 採用選考の面接に向けて意識したいこと⑤
第23回 (2015年4月6日掲載 ) 採用選考の面接に向けて意識したいこと④
第22回 (2015年3月30日掲載 ) 採用選考の面接に向けて意識したいこと③
第21回 (2015年3月23日掲載 ) 採用選考の面接に向けて意識したいこと②
第20回 (2015年3月16日掲載 ) 採用選考の面接に向けて意識したいこと①
第19回 (2015年3月9日掲載 ) エントリー・採用選考に向けて意識したいこと⑥
第18回 (2015年3月2日掲載 ) エントリー・採用選考に向けて意識したいこと⑤
第17回 (2015年2月23日掲載 ) エントリー・採用選考に向けて意識したいこと④
第16回 (2015年2月16日掲載 ) エントリー・採用選考に向けて意識したいこと③
第15回 (2015年2月9日掲載 ) エントリー・採用選考に向けて意識したいこと②
第14回 (2015年2月2日掲載 ) エントリー・採用選考に向けて意識したいこと①
第13回 (2015年1月26日掲載 ) 「雇用される」ということについて③
第12回 (2015年1月19日掲載 ) 「雇用される」ということについて②
第11回 (2014年1月13日掲載 ) 「雇用される」ということについて①
第10回 (2015年1月5日掲載 ) 就職活動に対する心構え⑩
第9回 (2014年12月29日掲載 ) 就職活動に対する心構え⑨
第8回 (2014年12月22日掲載 ) 就職活動に対する心構え⑧
第7回 (2014年12月15日掲載 ) 就職活動に対する心構え⑦
第6回 (2014年12月8日掲載 ) 就職活動に対する心構え⑥
第5回 (2014年12月1日掲載 ) 就職活動に対する心構え⑤
第4回 (2014年11月24日掲載 ) 就職活動に対する心構え④
第3回 (2014年11月17日掲載 ) 就職活動に対する心構え③
第2回 (2014年11月10日掲載 ) 就職活動に対する心構え②
第1回 (2014年11月1日掲載 ) 就職活動に対する心構え①

 

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