KEY流 就活クリニック

【第21回】

採用選考の面接に向けて意識したいこと②~
「面接だから緊張する」は通用しないと考えよう

前回は面接の「本質的な意味」として、面接が単に「質問されたことに対して答える」ということだけではなく、「会話のやり取り」…つまり、双方向のコミュニケーションが発生し、採用担当者(面接官)は、その会話のやりとりを通じて、応募者の「コミュニケーション力」についても確認している…という話をした。

面接のこのような側面について、さらに考え方を広げてみると「社会人として、あるいはその会社の業務をこなしていく中で遭遇しそうな場面」面接の限られた時間の中で出来る限り再現し、その「やりとり」や「反応」を見ていくことで、その応募者が、社会人として、また、その会社の一員として適切な対応が出来るのかも確認している…とも言えるのである。

そう言われても、これもなかなかイメージしにくいところだとと思われるので、例として以下の2つの側面から考えてみよう。

◎面接は、あなたのことを知らない(今までに面識のない)人と会話をする機会である
⇒新入社員にとって、会社の仲間や取引先の人達は「面識のない人」ばかりである。もし、その新入社員が「面識のない人と会話をするのが非常に苦手」だとしたら、それが、仕事をスムーズに進めていくということでは障害の一つになってしまう可能性は高い。

もっとも、上司・先輩などといった社内の人たちであれば、同じ職場で共に過ごす時間もそれなりにはあるので、最初のうちはうまくコミュニケーションが取れなくても、時間の経過と共に、その環境にだんだんと慣れていくことでスムーズになる場合も多い。

しかし、社外の人(取引先など)の場合は、日常的に同じ環境で時間を過ごしているわけでは無いので、さすがにそうはいかないだろう。それだけに「ファーストコンタクト(その人との最初の関わりの場面)」で、社会人として求められるコミュニケーション力が発揮できるということは非常に重要になる。もし、そのような場面で「会話のひとつもまともに出来ない」ほどであれば、おそらく、その後、その相手と良好な関係を築いていくことは、なかなか難しくなってしまうだろう。

だからと言って、決して「話し上手」になる必要があるわけではない。要は「程度」の問題なのだが、面識のない人と初めて会う場面で、基本的な会話のやり取りが全くできないようでは、さすがに「社会人としてのコミュニケーション力は不十分」と見られてしまう…ということである。そして、面接の場面において、面接官は、まさに「面識のない人」であり、その面接官との会話のやり取りを通じて「面識のない人とでも、それなりにコミュニケーションが取れるのか」を判断しようとしているのである。

◎面接は「限られた時間の中でも相手の印象に残るようなアピールが出来ること」を示す機会である
⇒業種や職種にもよるところではあるが、仕事をしていく中で、様々な提案やプレゼンテーションなどをする場面は出てくるだろうし、また、日常の業務の中でも、自分の上長や先輩に報告や様々な相談などをしていく場面も出てくるだろう。そして、そのような場面では「限られた時間の中で簡潔に、且つ内容はポイントをきちんと押さえて、自分が伝えるべきことを相手に理解してもらう」ことが求められる。

そのような側面から考えると「面接での自己アピール」にも同じようなポイントがあると言える。つまり、面接での自己アピールの内容・伝え方が、聞き手(面接官)にとって非常に理解しやすいものであれば「この人だったら、仕事の場面でも(この面接でのアピールのように)聞き手に分かりやすく伝えられる力があるだろう…」と考えることができるし、逆に面接での自己アピール『すら』まともに出来ないようでは「仕事の場面でも、自分が伝えなければならないことを、相手に的確に伝えることができない人なのだろう…」と、面接官は判断してしまう…ということである。

いかがだろうか…これ以外にも「面接でのやりとりを、実際の仕事で出てくる様々な場面に重ねあわせながら」その人のコミュニケーション力・さらには人物像そのものを判断していくのだが、面接官からすれば「実際の仕事の場面ではもっと強く緊張する場面も出てくるのに、たかだか『面接程度のやり取り』で、極端に緊張してまともに会話が成り立たない、明らかに冷静さを失ってしまう…といったことでは、実際にその会社や組織の一員として仕事をしていく場面ではとても耐えられないだろう…」という見方をしているところがある(ちなみに、面接官もそのような見方を意識的にしている場合もあれば、無意識にしている場合もあるだろう…)というのは意識をしておきたい。

…とは言え、面接の場面に限らず、どんな場面でも緊張してしまう…という、アガリ症的な傾向の人もいるかもしれない。そのような場合も含めても、敢えて厳しいことを言うようだが「こういう面接みたいな場面だと、どうしてもあがってしまって、自分の伝えたいことが思うように伝えられない…」というのは、言い分として通用しないと思ったほうが良いだろう。

また、たとえ話になってしまうのだが、例えば、練習では非常に良い記録を出せるのだが、本番になると極度に緊張してしまうために、練習で出るような良い記録が出せない…というスポーツ選手がいたとする。もし、その選手が「自分は本番だと極度に緊張してしまうから、練習の記録を本番の記録として認めてほしい」などと訴えたらどうだろうか…ほとんど全員が「そんな自分に都合の良い言い分が認められるわけないだろう!」と思うに違いない

これは、スポーツ記録のたとえ話だから…いうことではない。おそらく、どのような仕事でも同じことが言えるだろう。つまり、もし、その人に十分な能力が備わっていたとしても「その実力を発揮すべき場面で」「周りの人が分かるようにその実力を発揮すること」ができてこそ、それが『その人の本当の力(実力)』だと認めてもらうことができるわけで、仮に、緊張などで100%の力が発揮できないとしても「それも含めて、それが『その人の実力』」だと判断されるのが、社会人としての見方であり見られ方なのであろう。。

先程、敢えて「面接『程度』のやり取り」で…という言い回しをしたのだが、社会の厳しい場面を乗り越えてきた面接官にとっては、そのような意味で、やはり『面接程度』でガチガチに緊張してしまって、まともに言葉も出て来なかったり、会話がきちんと成り立たないようでは「この人をウチの会社の一員にするのはちょっと…」となってしまう場合が多いのだろう。

また、筆者は医学の専門知識は有していないので「絶対にそうすべきだ」…とまでは言わないが、もし「自分がアガリ症的な傾向があるかな…」と思うのであれば、それを克服するためのトレーニング法なども、書籍をはじめ、様々なものが紹介されているので、そのようなものも参考にしながら、できるだけ早めに、その傾向を改善しておいた方が、実際に社会人になってからのことを考えても望ましいのではないかと思う。

先回の話と合わせて「自分が評価される立場だから」「選ばれるか落とされるかの重大な場面だから」…ということで、必要以上に緊張したり、変に自分を良く見せ過ぎようとしても、結局「あまり良いことは無い」…ということを感じていただきたいと思う。

面接の場面で重要なのは「自分の『人柄』を面接官にどれだけ分かりやすく伝えられるか」であり、さらに「自分の持っている特性をその会社でどのように発揮していくことで、将来的にその会社の力になっていけそうなのか(についての自分なりのイメージ)を面接官に理解してもらうことができるかどうか」である。

それだけに、面接に対する対策…とは言っているものの、結局は「自己理解」「応募先の会社に対する理解」などを十分に行って面接に臨むということが「面接に対する何よりの準備」なのだということを、今一度、しっかりと意識していただきたいのである。

 

※このコーナーで取り扱う内容は、あくまで一般的な事項として取り上げるものであり、企業・団体などにおける個別の採用選考において、具体的な効果・成果などを保証するものではありません。

 

 

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